babooconの雑記

東京都在住、アラサー個人投資家のつれづれ日記。

2009年版バフェットの手紙(6)

またしばらく間が空いてしまいました。

実家に帰省したり出張が多かったりしたせいもありますが、更新が滞っている一番の理由はやはり怠け癖ですね・・・。

さて、ウォーレン・バフェット氏がバークシャー・ハザウェイ社の株主に宛てて毎年のアニュアル・レポートの中で書いている手紙の最新版を翻訳してみようという試みの続きです。

バフェット氏の手紙の原文およびバークシャー・ハザウェイのアニュアルレポートは下記のリンクから閲覧できます。




前回の記事のリンクです。


今回は電力やガスパイプラインなどのインフラ事業を行っているミッドアメリカン・エナジーを中心とした公益事業セクターについてのセクションです。

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規制公益事業

 バークシャーは多岐にわたる公益事業を所有しているミッドアメリカン・エナジー・ホールディングスの89.5%の持分を有しています。それらの事業の中でも最大級のものを挙げると、(1)ヨークシャー電力とノーザン電力であり、その380万の末端利用者によって英国第3位の電力供給事業者となっています。(2)主としてアイオワ州で725,000の顧客に電力を供給しているミッドアメリカン・エナジー、(3)西部の6州で約170万の顧客に電力を供給しているパシフィック・パワーとロッキー・マウンテン・パワー、そして(4)全米の消費量の約8%の天然ガスを搬送しているカーン・リバーとノーザン・ナチュラルのパイプラインです。

 ミッドアメリカンは2人の傑出した経営者を有しています。デーブ・ソコルとグレッグ・アベルです。それに加えて、私の長年の友人であるウォルター・スコットが、彼の家族と共に、同社の主要株主として持分を有しています。ウォルターはあらゆる事業に対して素晴らしいビジネス経験に基づく知恵をもたらしてくれます。デーブ、グレッグ、ウォルターと仕事を共にしたこの10年間は私の当初の信念をいっそう強固なものにしてくれました。バークシャーは彼ら以上のパートナーを得ることはできません。彼らは真にドリーム・チームです。

 いささか不釣り合いに思えますが、ミッドアメリカンはアメリカ国内で第2の規模を誇る不動産仲介会社である、ホームサービシズ・オブ・アメリカも所有しています。同社は16,000の代理店を有する21の地方では名の知れた会社を通じて事業を行っています。昨年もまた、住宅販売にとっては厳しい一年でしたが、ホームサービシズ社はわずかながら利益を上げました。また、同社はシカゴの会社を買収しました。そしてこれからも提示価格が妥当であれば、他の良質な仲介業者を買収していく意向です。10年後、恐らくホームサービシズ社は今よりずっと大きくなっていることでしょう。

 以下に、ミッドアメリカンの事業の主要な数値を示します。


イメージ 1

(※原文に記載されているのは2009年と2008年の数値のみですが、より時系列でみるために2007年の数値も拾ってきて載せています)


 当社の電力公益会社は大半の場合独占的にサービスを提供しており、サービス地域の顧客と共生的に事業を行っています。利用者は我々が第一級のサービスを提供し、将来の需要のために投資するのに依存しています。発電および主要な変電施設の許認可と建設に要する期間は非常に長期間にわたるため、我々は長期的な視野に立って考える責務があります。その代わりに我々は当社の公益事業の(我々の顧客の便益のために行動する)規制監督機関に、我々が将来の需要に応えるために使わなければならない巨額の資本に対して、適切なリターンを得ることを許可して頂きたいと願っています。私達が自らの役割を果たさない限り、規制監督機関が応えてくれることを期待すべきではないと思っています。

 デーブとグレッグは私達がまさにそうしていることを確信させてくれます。国内のリサーチ会社が私達のアイオワ州および西部の公益事業を継続的にこの業界の最上位近くにランク付けしています。同様に、マスチオという名の会社がランク付けしている全米の43のパイプラインの中で、私達のカーン・リバーとノーザン・ナチュラルの設備は2位の座を分け合いました。

 さらに、私達は当事業に、将来の備えとしてだけではなくこれらの事業をより環境に優しいものにするために、巨額の資金を継続して注ぎ込んでいきます。当社が10年前にミッドアメリカンを買収して以来、同社は一切配当金を支払っていません。代わりに、私達はその利益を我々がサービスを提供している各地の設備を拡張したり改善するのに使ってきました。一つの劇的な例を挙げると、過去3年間に当社のアイオワ州および西部の公益事業は25億ドルの利益を上げましたが、その一方で同じ期間に30億ドルを風力発電設備の為に支出しました。

 ミッドアメリカンは社会に対して継続的にその責務を果たしており、そして社会はそれに報いてくれています。数少ない例外を除いて、当社の規制監督機関は私達が投資する必要のある増加し続ける資本に対して公正妥当なリターンを挙げることを速やかに許可してくれています。この先も、私達はどれほどの負担がかかろうとも、当社の営業地域において彼ら(規制監督機関)の期待するやり方で行っていく所存です。その代わりに、私達は我々の投資した資金に見合うだけのリターンを上げることを許されることを信じています。

 以前、チャーリーと私は公益事業会社の様な資本集約的な企業を避けていました。実際のところ、オーナーにとって最高の企業とは、高い資本利益率を上げることができ、かつ成長するのに追加投資が少なくて済む企業であることに変わりはありません。私達は幸運にもそのような企業を数多く所有していますし、もっとそのような企業を買いたいと思っています。しかしながら、バークシャーがこの先も増え続けるキャッシュを生み出すことを想定すると、今日の私達は恒常的に巨額の資本支出を必要とするビジネスに参入する意欲が高まっているのです。私達はこれらの企業が投資した増加分の資本に対してほどほどのリターンを上げられる見込みがあることだけを期待しています。もし私達の予想が当たっていれば―そうであることを信じていますが―バークシャーの成長し続ける良好から最高の企業のコレクションは、眼を見張るほどでないことは確かですが、平均を上回るリターンをこの先数十年間にわたって生んでくれることでしょう。

(続く)

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すみません、長くなってしまったので、2回に分けてエントリーします。