babooconの雑記

東京都在住、アラサー個人投資家のつれづれ日記。

「インフレがどれほど株式投資家から搾取するか」 by ウォーレン・バフェット

早速ですが、僕が時々覗いているブログで、次のような記事が紹介されていました。


世界一の投資家、ウォーレン・バフェット氏が1977年5月にフォーチュン誌に寄せた記事で、インフレが株式投資に及ぼす影響について述べています。

ちょうど今の日本でも長く続いたデフレから抜け出してインフレが進行しつつあるので、ある意味タイムリーな内容だと思い、自身の勉強の意味も込めて翻訳に挑戦してみました。

けっこう長い記事なので、何回かに分けて記事にします。
あちこち訳がおかしいかも知れませんが、ご容赦下さい。

インフレがどれほど株式投資家から搾取するか

株式市場における主要な問題は、資本利益率がインフレと共に上昇していないことです。
それは12%に固定されているように思われます。

by ウォーレン・E・バフェット、1977年5月、フォーチュン誌

インフレ環境においては、株式が債券の様に悲惨な結果しか残せないことはもはや秘密でもなんでもありません。私達は過去10年間そのような環境に置かれてきており、そしてそれは株式にとって本当に困難な時期でした。しかしこの時代の株式市場の問題の理由はまだ十分には理解されていません。

インフレ期における債券保有者の問題についてはまったく摩訶不思議でも何でもありません。ドルの価値が月を経るごとに低下していくような時、そのようなドルによる利息収入と元本支払いのある証券は大いなる勝者にはなりません。それを計算するのに経済学博士号は必要ありません。

長い間、株式はそれとは別の何かだと思われてきました。何年もの間、世間一般では株式はインフレに対するヘッジとなると主張されてきました。その主張は、株式は債券がそうであるようにドルに対する支払い請求権ではなく、生産設備を持つ企業の所有権を表しているという事実に論拠を置いていました。これらのことから、政治家にお金を印刷させても株式はその実質的な価値を保つのだと投資家は信じていました。

では一体何故そのようにはならなかったのでしょうか?その主な理由は、株式の経済的な本質は、実際には債券と非常に似通っていることにあると私は考えています。

この考えが多くの投資家にとって突飛なものであることは知っています。債券の利益(クーポン)が固定されている一方で、株式投資の利益(企業の収益)は年毎にかなり変動することはたちまち見て取れます。それは十分に真実です。しかし戦後の期間に企業によって得られた利益の総計を計算してみた人は、驚くべきことを発見するでしょう。株主資本に対する利益率は、実際のところ、全く変わっていないのです。

クーポンには粘着性がある

戦後の最初の10年間(1955年までの10年間)、ダウ・ジョーンズ工業株は期末資本に対する平均年間利益率で12.8%を上げていました。次の10年間の値は10.1%でした。その次の10年間は10.9%でした。より大きな領域のデータとして、フォーチュン500(その歴史の始まりはほんの1950年代半ばに遡ります)も似たような結果を示しています。1965年までの10年間に11.2%、1975年までの10年間に11.8%です。何年かについての例外的な数字はより高い数値を示したり(500種の最高値は1974年の14.1%)、より低い数値を示したり(1958年と1970年の9.5%)していますが、何年も通してみれば、また全体としては簿価に対する利益率は12%付近の水準に回帰し続ける傾向があります。インフレの進む期間において、利益率がその水準を大きく超えるような兆候は全くありませんでした(また、物価が安定している時期についても同じことは言えます)。

ここで少しの間、それらの会社を上場証券としてではなく、生産力を持つ企業として考えてみましょう。また、オーナーはそれらの企業を簿価で買収したものと想定してみましょう。その場合、彼ら自身のリターンはやはり12%前後になったことでしょう。そしてリターンはそのように一貫しているため、それを「株式のクーポン」と考えることは理にかなっているでしょう。

もちろん現実の世界では、株式への投資家はただ買って保有し続けている訳ではありません。その代わりに、多くの人は企業収益に対して自身が上げる利益の比率を最大化するために、他の投資家を出し抜こうと試みます。このバタバタした試みは、全体としては明らかに無益で、投資家の取り分を減らす以外には株式クーポンには何の影響も与えません。何故なら、投資顧問手数料や売買委託手数料として、かなりの摩擦コストを生じるからです。活発なオプション市場に資金をつぎ込んでみても、アメリカ企業の生産性には何の影響も与えず、カジノは何千ものキャストを必要とし、摩擦コストはさらに上昇するだけです。

(続く)