babooconの雑記

東京都在住、アラサー個人投資家のつれづれ日記。

「会社にお金を残さない!」―驚異のメガネ屋・21(トゥーワン)

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メガネの21(トゥーワン)

しばらく前にカンブリア宮殿で取り上げられるなど、ユニークな経営が注目を集めている会社だそうです。

この本の著者は「21」の創業メンバーで取締役の平本清氏です。

順調に業績を伸ばしている会社にも関わらず『内部留保ゼロ』、管理職なし、社員の給料は全部公開などと聞くと確かにインパクトがあります。

一見すると奇をてらったように見える「21」の経営スタイルですが、この本を読むとそうではなく、大手メガネチェーンを辞めた(あるいは解雇された)メンバーで創業したこの会社が、大手につぶされないために試行錯誤を重ね、何度か形を変えながら創り上げられてきた合理的な仕組みだということが分かります。

その仕組みを非常に大雑把に言うと、

◎利益が出そう時は全て賞与として社員に分配する→法人税も節減できる(ただし個人年収の上限は1000万円)

◎それでも利益が出た時は値引きで顧客に還元

◎事業拡大に必要な資金は社員から直接調達(高額賞与は社員への『内部留保』の意味もある)

という具合です。

この様に書くと「日本一社員にやさしい会社だ」、という風に思われるかも知れませんが、本文中で平本氏も述べているように、決して社員に甘やかす会社というわけではなく、「税金をたくさん取られたり、一部の人ががっぽり持って行くより、均等にみんなでお金を持ち合った方がはるかに合理的だと判断した」ということだそうです。

実際、本文中の平本氏の言葉や会社でのエピソードを読んでいても、非常に合理的な思考の持ち主で、ある種の冷徹ささえ感じました。

儲かった分は社員に分配する制度についても、逆に言えばどれだけ一人が稼いでも上限が決まっているため、「21は不公平の塊のような会社」だと言い切っています。

それでもこの様な一見風変わりな仕組みの会社が出来たのは、上述の大手に対抗するためというのもありますが、「一人ががっぽり稼ぐより、みんなで幸せになった方が楽しい」という価値観が根幹にあったからなのだと思います。


儲かった分は直接分配することで社員のやる気を引き出し、必要資金も社員から直接調達。無駄な部署や上下関係を一切省いた「フラットでサークルな」組織。

確かにユニークではありますが、本の帯にも書かれているように、21世紀の理想の会社のあり方の一つを体現している会社なのかも知れません。