"The Knack"（経営の才覚）

「The Knack:How Street-Smart Entrepreneurs Learn to Handle Whatever Comes Up」

以前紹介した書籍、「Small Giants」（→過去記事）が気に入ってしまって、著者のボー･バーリンガム（Bo Burlingham）氏の著作は他にないのか探してみた所、この本他数冊が見つかったので読んでみました。

本作は前著「Small Giants」に「小さな巨人」の一社として紹介されているニューヨーク・ブルックリンの企業家、ノーム・ブロドスキー（Norm Brodsky）氏との共著で、元々「インク」誌に２人で連載していた「Street-smart」というコラムが元になっていて、主にスモールビジネスを経営する、あるいはこれから起業しようと考える人達にとって役に立つ、実践的な経営上のアドバイス満載の本です。

30年以上のキャリアで7つのビジネスを立ち上げ、最初のビジネスは急拡大から倒産の道を辿った経験もあるブロドスキー氏が、自身の企業やアドバイスを行なった起業家のエピソードを元に起業を成功させるために必要な心構えやビジネスの様々なシーンにおける「コツ」を語っています。
その内容は「事業立ち上げ当初は自分の手で数字を追う」「粗利益率の維持を意識しながら売上を伸ばす」「キャッシュフローを理解する」といった事業を継続させるための財務上の要点から交渉術や事業を成長させる際に陥りやすい罠、企業にとってよい営業マンの雇い方・育て方・・・などと多岐に渡っています。

経営コンサルタントの人が書いたような企業戦略についての本も面白いですが、こういう生の企業経営の現場に長年身をおいてきた人の言葉はより説得力があります。

この手の本にありがちな「自分の育てた会社自慢で終わる本」という印象はあまりなく、抽象的な一般論でもなく、よくまとまった良書ではないかと思います。

ところで、この本についてはまたオチがありまして・・・。
アマゾンで買った１、２週間後に書店に行くと、ちょうど「経営の才覚」というタイトルで日本語版が出版されていました。

先日のiPodに続き、またも絶妙のバッド・タイミング・・・orz