「じぶんホールディングス」のB/Sを眺めてみる
株式ポートフォリオのバランスシートといっても、投資家個人としての保有株式時価や待機資金の残高のことではなく、投資先企業のバランスシートの、自分の持分に相当する額を保有銘柄全てについて集計したもののことです。
株主としての貸借対照表上の持分は1株当たり純資産額(BPS)に保有株数をかければ算出できますが、それだけではなく、投資先企業の保有する現金や有形固定資産などの各資産、借入金などの各負債は1株当たりどのくらいの額があるのか算出し、自分の株主持分相当に対してどの程度であるかを見てみようというわけです。
投資先を検討する時は当然個別の企業について財務状態その他もろもろを見て分析するわけですが、そこに投資金額(株数)の比重を加味することで、自分のポートフォリオ全体としての財務状態があたかもホールディングス(持ち株会社)のように見えるのではないかと考えました。
僕自身も昨年ブログを始めてから、自分のポートフォリオの収益力(ルックスルー利益と呼んでいますが)を計算してみたりしています。
そこで繰り返しになりますが、今回は投資先のP/Lではなく、B/Sに焦点を当てて見てみようということです。
まず各投資先ごとの貸借対照表数値を用意します。それぞれ決算期が違いますが、最近はどの上場企業にも四半期決算が適用されるようになっているので、各々直近に発表されている四半期末時点(8月末~10月末)のものを使用しました。
当然、投資先企業によって資産規模はまるで異なりますから、このままでは集計できません。そこで発行済株式数(自己株式控除後)で各勘定科目を割って、1株当たりの数値に変換します。
ここで伊藤園については、普通株式と優先株式の2種類の株式が存在しているため、注意が必要です。
優先株式の1株当たり純資産は普通株より配当の上乗せ分多くなるため、「現金及び現金同等物」については配当の上乗せ分(今回の場合1株当たり5円)総額を控除した額を普通株と優先株の発行済株式の合計で割った後、5円を加えました(僕が投資しているのは優先株のため)。
それ以外の勘定科目については普通株と優先株で差はないとして計算しています。
優先株式の1株当たり純資産は普通株より配当の上乗せ分多くなるため、「現金及び現金同等物」については配当の上乗せ分(今回の場合1株当たり5円)総額を控除した額を普通株と優先株の発行済株式の合計で割った後、5円を加えました(僕が投資しているのは優先株のため)。
それ以外の勘定科目については普通株と優先株で差はないとして計算しています。
各科目について1株当たりの金額を算出したら、それに自分の保有株式数を掛けて持分相当額を算出します。
借方・貸方で数値が一致していることを確認します(決算書の数値が百万円未満切捨てで表示されている関係上1円、10円単位の誤差は出てしまいますが)。
最後に、数字の羅列では見づらいので、出来上がったバランスシートをグラフ化してみました。
個別では業績悪化でB/Sも痛んでいる投資先もありますが、手元資金に余裕はあり、有利子負債もわずかで、ホールディングス全体としては健全な状態を保っていると言えるでしょう。
またホールディングスの収益力と併せてみることで、投資先企業がどのくらい資本(プラス数字には表れない経営資源)を有効利用して投資先が利益を上げているかもより見えやすくなります。
投資先企業が利益を多く上げれば、その分B/S上の株主の持分は増加し、その利益がしっかりとキャッシュの伴ったものであれば株主により多く配分できるわけです。
1年や2年といった期間では株価倍率(バリュエーション)の見直しが株価変動を大きく左右しますが、時間軸を長期(5年、10年、20年)と長くとるほど、資本の蓄積、つまり投資先企業が利益を上げ続けられるかとその速度(ROIC)の方が大きく効いてきます。
極端なたとえをすると、資本が長期的に10倍、100倍と成長することはあっても、PERが10倍から100倍、1000倍へと見直され、維持されることはまずあり得ないですから。
株式投資というとどうしてもまず株価に目がいきがちですが、投資している(あるいはこれからしようとしている)企業の中身に目を向け、自分が支払うお金と引き換えに何が得られるのかを意識することはより肝要だと思います。
ホールディングスの収益力(ルックスルー利益)についても、また年末か年始に記事を更新しようと思います。