babooconの雑記

東京都在住、アラサー個人投資家のつれづれ日記。

「インフレがどれほど株式投資家から搾取するか」 by ウォーレン・バフェット③

バフェット氏が1977年にフォーチュン誌に寄せたインフレと株式についての記事の続きです。

(→前回の記事


エグジット(出口)の方向

振り返ってみると、株式投資家は1946~56年の期間、実にありがたい三重の恵みを受けていたと考えることが出来ます。第一に、彼らはその時期の市場金利をはるかに超えていた、企業の株主資本利益率の受益者でした。第二に、そのリターンの大部分は投資家の為に、他の投資対象では得ることが出来なかった利回りで再投資されていました。そして第三に、初めの二つの恩恵が広く認識されるにつれて、株主資本への評価の上昇がもたらされました。
この第三の恩恵が意味するところは、投資家は、企業が株主資本に対して得る基本的には12%そこそこの利回りに加えて、ダウ・ジョーンズ工業株の株価が1946年の簿価に対して138%から、1966年の220%にまで増加したことによるボーナスを受け取っていたのです。その様な評価増の過程は一時的に投資家が、投資していた企業に本来備わっている収益力を超える利回りを得ることを可能にしました。

この地上の楽園の様な状況は最終的には1960年代半ばに、多くの主要な投資機関によって“発見”されました。しかしこれらの金融界の象たちが株式を次々に土足で踏みつけ始めたちょうどその時、私達は加速するインフレと高金利の時代に突入しました。極めて論理的なことに、それまでの評価増しの過程は逆戻りを始めたのです。
上昇していく金利は無情にも既存の全ての固定利付投資の価値を減少させました。そして長期社債金利が上昇し始めると(結局は10%に達しました)、株式の12%の利回りと再投資の“特典”は両方とも違って見え始めました。

株式はしごくもっともなことに、債券よりもリスクが高いと考えられています。株式のクーポンは長期間で見れば12%で固定されている一方で、年ごとに見ればかなり変動しています。その年毎の変化に、投資家の将来への態度はかなり、そしてまた頻繁に誤って、影響を受けます。
株式はまた、償還期限がないという性質を備えている為に、よりリスクが高くなっています。(たとえあなたの親しいブローカーでも、100年債を、たとえ可能であっても、それを“安全”であるとして売りつける図太さはないでしょう。)
その上乗せされたリスクのために、自然な反応として投資家は株式に債券のそれを十分に上回るリターンを期待します。そして、株式の12%の利回りは、その株式と同じ企業が発行した債券の10%の利回りと比較して、十分であるとはみなされません。その利回り格差が狭まるにつれ、株式投資家達は出口を探し始めます。

しかし、もちろん、全体として彼らは脱出することは出来ないのです。彼らが得られるのは、大量の動きと、かなりの摩擦コスト、そして新たな、インフレ環境下での12%という株式クーポンの魅力の低下を反映した、より低水準の価値評価だけです。
債券投資家は過去10年間、どの水準のクーポンにも―6%でも、8%でも、また、10%でも―そこに魔法はかけられていないことを発見しながら、連続的な打撃を受け続けてきました。
株式投資家は、全体としては自分達も「クーポン」を持っていることに気づいていませんでしたが、やはりこの点についての教育を受けていたのです。


ここまでのまとめ…
●米国企業の株主資本利益率ROE)は長期的に見ると約12%でほぼ一定している
●株式は償還期限のない12%の「クーポン」を持つ債券と見なすことが出来る
金利が低い時期は、株式は「クーポン」の一部を同じ利率で再投資する為、より魅力的な投資対象となる

(続く)